人はどうしてひとりじゃ生きていけないんだろう。

人はどうして誰かを好きになるんだろう。

あんなにも悲しい思いをしたのに。

あんなにも涙を流したのに。

どうして

それでもまた、恋をしてしまうんだろう。



明日がこえる



最近、そんなことばかり考えている自分がいる。

今も、買ったばかりのコートの裾を秋風に揺らしながら
アスファルトを踏みしめる足が一歩、また一歩と
私をその疑問の原点に導いているわけで。




大学からの帰り道。



最初は、それだけだった。





「こんにちはぁ〜」


扉を小さく開きながら、
身体より一足先に声だけお邪魔する。
最近はいつもそう。
前みたいに勢いよく挨拶なんて、到底無理になってしまった。


「あら、紅ちゃん!いらっしゃい!」


声に気づいた新居さんが、
半分だけ開いた扉の残り半分を開けながら
とびきりの笑顔で私を出迎えた。

新居さんはこの会社の受付兼総務だ。
小さな会社なために余分な人員を雇うことが出来ず、
こうして社員の誰かが足りない労働力を補っているのだと
以前、ここで30分ほど待ちぼうけをくらった時に教えてくれた。

誰を待っていたかと言うと…


「丁度良かった!ほら宗一郎くん、お迎えよ。」

「え?あ、本当だ。紅ちゃん、ただいま。」

「おかえりなさい。…宗義兄さん」


新居さんの後ろから、ひょっこり姿を現したこの人。

私の、お義兄さん。


「じゃぁ、新居さんお疲れ様。」

「お疲れさまー。紅ちゃん、今度ゆっくりお茶でもしましょ。」

「あ、はい。是非。」


笑顔で新居さんに手を振り、歩き出す宗義兄さん。
私も数歩遅れてその後を付いていく。
今日は珍しく残業がなかったらしい。
とは言っても
これから月末に急ぎ足で駆けていく日付に比例するように
義兄さんたちの忙しさも増し、残業は増える一方なわけだから。
こうして一緒に帰るのも、今月はあと数える位しかないだろう。


「義兄さんが定時に終わるなんて、久しぶりじゃない?」

「うん。今日は大きな取引が決まったみたいでさ。
 社長も機嫌が良くって。だからだよ。」


そう言って笑う義兄さんの口調も足取りも
いつもより少しだけ軽くて。
こんな日に並んで歩けることに私はこっそり感謝する。
心の中の波が僅かに静まる瞬間だ。


「それよりいい加減その呼び方やめていいよ?
 なんか兄さんなんて照れくさいし。」

「えーだってもう呼び慣れちゃってるし。
 義兄さんは義兄さんだよ。」

「そうだけど…」

「……………」


宗義兄さんは私のお姉ちゃんの旦那さまだ。
正確に言うと、「旦那さまだった。」
だから、彼が私の兄だったのは2年前まで。

2年前に、お姉ちゃんは事故で亡くなってしまったから。


「紅ちゃん…」

「義兄さん!どっか行こうよ!」

「えっ?」

「だってまだ5時半だよ?真っ直ぐ帰るには早すぎるよ。」

「そうだけど…」

「いいじゃん。どうせ暇なんデショ?」

「悪かったなぁ。どうせ紅ちゃんだって暇なんだろ?」

「あははっ、バレてたー?」


わざと話を遮って、強引に義兄さんを夕暮れの街に連れ出した。
どうせ予定のない義兄さんは、
この後家でゴロゴロするだけに決まってる。
まだ27なのに、それは寂しすぎるでしょ。
それに…

まだ、あの家には帰って欲しくないんだ。


「どうする?飲みにでも行く?」

「え?紅ちゃんまだ未成年なんじゃ…」

「はぁ?何言ってんの。そんなわけないじゃんっ」

「あれ?そうだっけ?」

「そうだよー。もー。」

「ごめんごめん。」


義兄さんの時間は2年前から止まっている。
だから私の歳も、義兄さんの中では2年前の19のまま。

分かってはいたけれど、無性に胸の奥が痛くなる。
あれから時間は確実に流れているのに。
少なくとも、私の中では…。


「でもなぁ、明日も仕事だし、お酒はなぁ。」

「ほんっと義兄さんってば真面目だよね。」

「そうかなぁ?」

「そうだよ。まぁいいや。じゃぁ……あそこなら、いい?」


指さす先は一件のコンビニ。


「あそこで何かあったかいもの買って、
 近くの公園で食べよ?それならいいでしょ?」

「あぁいーね。ちょうどお腹もすいてたし。」


やっと出たOKサインに私は勢いよく駆け出す。
振り返ると少しだけ困ったような顔で付いてくる義兄さん。

きっと彼にとっての私はいつまでも19歳で。子供で。
それをこの先変えるのは凄く難しいこと。
いつか変わってくれる。いつか分かってくれる。
そう自分に言い聞かせながら2年が過ぎてしまった。



手に持った袋の中には、2つの肉まんとホットコーヒー。
2人並んで歩くアルファルトに、さっきよりも少し伸びた影。
この影がもっともっと伸びた先には何が待っているんだろう。
2人が並んで歩ける未来がずっとずっと続いていればいいのに。


ずっと続くと、思っていたのに。




「もう、やめていいよ?」




曖昧な関係の終わりを告げるのは
たった一言で十分だった。


「…え?」


丸い肉まんを半分ほど食べ終えて、
冷め始めたコーヒーに口をつけた瞬間。

それはあまりにも突然で。
けれど、準備はいつだって出来ていた。
きっと1年前のあの日から。


「やめるって、何を…?」

「…………」

「ねぇ、宗義兄さん…」

「もう、会わないほうがいい。」

「…!」


冬支度を終えた木々からこぼれ落ちた木の葉たち。
綺麗に色づいた一瞬の秋を通り過ぎて
冷たい地面を彷徨う姿が乾いた音を立てていく。


「本当は、もっと早く言うつもりだったんだ。
 でも言えなくて……ごめん。」

「なんで…何で謝るの?」

「ずっと紅ちゃんに甘えてたから。
 …このまま紅ちゃんを縛り付けておくわけにはいかないよ。」

「どう…して…?」


壊れたテープレコーダーのように、
私は疑問の言葉を口にし続けていた。

義兄さんの言っている意味なんて分かるのに。
それが正しいということも。
それが義兄さんのためでもあるということにも。
気づいているのに。


「もう、俺は大丈夫だから。」


それは、1番望んでいた言葉のはずだった。




1年前。
丁度こんな風に秋風が木の葉を揺らす、そんな日。

お姉ちゃんが亡くなってから1年が過ぎたというのに
宗義兄さんは、お姉ちゃんと住んでいたマンションから
出ていこうとはしなかった。
それどころか苗字も婿養子に入った時のままを名乗っている。

お姉ちゃんの死から立ち直れていないのではないか。
このまま一生引きずってしまうのではないか。
そう心配した両親が宗義兄さんの面倒を見て欲しいと
電話してきたのが去年の秋。

嫌だった。
はっきり言って面倒臭かった。
何で私がそんなことしなくちゃならないの?
何度もそう思った。

けれど、お姉ちゃんの葬儀以来初めて彼に会ったとき、
私は愕然としたんだ。

頼りがいのあった大きな背中は小さく、
真っ直ぐな瞳は力を失い、
優しい笑顔は欠片も存在を失っている。

お姉ちゃんの隣で幸せそうだった義兄の姿はそこになかった。


この人が元気になるまで。
どうせ大学からの帰り道だし。
親にも頼まれてるし。

最初の数ヶ月は本当にそれだけ。


けれど、いつからだろう。

寂しげな横顔に胸が痛み出したのは。
時折見せる笑顔に涙が出そうになったのは。
姉の温もりが残る家に、帰って欲しくないと思ったのは。

10分足らずの帰り道が、もっと長く続けばいいと願ったのは…。



俺は大丈夫。


その言葉は私にとって、サヨナラと同じ。





「そっか。…そうだよね。」


何だか、大きな勘違いをしていた気がする。

この人には私が必要。
この人はとても弱いから。
ひとりじゃ生きてはいけないから。
私がそばにいなきゃダメなんだ。

ずっと、そう思っていた。
けれど
それは私の大きな勘違い。

だって、ほらね。
見上げた横顔に絶望なんて微塵も感じない。
広い背中はこんなにも頼もしい。
光の宿った瞳は未来を見据えてる。

あぁ、そうか。
この人は、宗義兄さんは
未来に向って歩き出そうとしているんだ。

もう、お姉ちゃんの代わりはいらないんだね…。



「ごめんね…。私、いつの間にか勘違いしてて。」

「紅ちゃん?」

「頼まれてもいないのに、1年もつきまとっちゃって。
 迷惑だったよね…ごめんなさい。」

「そんなことないよ。」


宗義兄さんの言葉には、いつだって優しさが溢れている。
そんなことにも、私は今まで気づけずにいた。

なんてことだろう。

姉を失った悲しみに立ち直れていなかったのは
私の方だったんだ。
その優しさを与えてもらっていたのは
私だったんだ。

彼を支えているような気になって、
いつのまにか私が彼に寄りかかっていた。



「いいんです。気を遣わないで。」

「紅ちゃん、聞いて。俺は…」

「宗義兄さん、見て。」

「え…?」

「ほら、いちばん星。」


見上げた先には小さな小さな星が。
いつの間にか姿を消した太陽の代わりをするように
その存在を精一杯主張して。

オレンジから淡い緑、そして水色へと変化していく秋の空。
絵の具を塗り重ねたようなグラデーションの中で
見付けた光は、まるで一滴の涙のよう。


その雫は誰かの喜び?

それとも、悲しみ?


「宗義兄さん、知ってる?
 いちばん星に願いごとをすると、叶うんだよ。」

「そういえば、蘭がそんなこと言ってたなぁ。」

「うん。私もお姉ちゃんに聞いたの。」


ねぇお姉ちゃん、聞こえる?

星になったお姉ちゃんが、
もしあの小さな光なんだとしたら。
今日という日に私たちの前に現れてくれたこと。
いちばん最初に光を灯してくれたこと。

きっと、偶然じゃないよね…?



「誕生日を好きな人の隣で過ごせますように。」



私の願いごとは、
きっとお姉ちゃんからの誕生日プレゼントだから。


「それが、紅ちゃんの願いごと?」

「ううん。もう叶ったの。」


指先をクロスして祈るのは、
自分の幸せ?
宗義兄さんの未来?

それとも…


「今日、私の誕生日なんだ。21歳の。」

「え?それって…」


あなたにとって、私が誰かの代わりでも。

もう、そんな私を必要としていなくても。




「私……宗義兄さんが好き、だよ。」




宗義兄さんは驚いたように顔を上げた。
穏やかだったその瞳には明らかに驚きと焦りの色が滲み、
風に遊ばれる髪で時折見え隠れする彼の唇は
必死に何か言葉を紡ぎ出そうとするように小さく震えている。


やがて、空が青一色で独占され始めたころ。


宗義兄さんは立ち上がり、私に向き直る。
それは答えが出たサイン。
向かい合った2人の間を木の葉が風と共に過ぎていく。



「俺は…まだ、紅ちゃんをそういう対象には見れない。」

「…っ」


分かっていた。

義兄さんはお姉ちゃんを愛していた。
そして、今新しい誰かに向って歩き出そうとしている。

私はお姉ちゃんによく似ているけれど、
決してお姉ちゃんにはなれない。

結局、中途半端に姉の名残を含んだ私には、
姉の代わりを務めるとこも
姉を忘れさせてあげることも出来ないから。

だから



「だから…サヨナラ、なの?」


気持ちが緩んだ瞬間、本音の欠片が口をついた。

それは言ってはいけないこと。
私の役目は彼が立ち直ったとき、終わる。
なのに別れを惜しむようなこと言ったらダメなのに…。


感情が、理性に追いつかない。



「違うよ、紅ちゃん。」

「ごめっ…私、何言って…」

「紅ちゃん、聞いて。」

「義兄さんごめんね。私…」


義兄さんを想う自分の気持ちには、
随分と前から気づいてはいたけれど。
それを伝えようと思ったことは、実は一度だってない。

だって普通に考えたら、
愛した人の妹を恋愛対象になんて見れないだろうし。
少なくとも、この気持ちを打ち明けたら
宗義兄さんはとても困るだろう。
彼はとても優しい人だから。
きっと凄く悩むんだろう。

それは嫌だった。
彼を困らすことだけはしたくなかった。
ずっとそう思ってきた。

なのに

今、誰よりも何よりも彼を困らせているのは
私だ。



「紅」



「…!」




はじめて、名前を……………





驚きと戸惑いで私は混乱していたんだと思う。
自分の頬をつたう涙にも気づくことが出来ずに、
ただ呆然と義兄さんを見つめる。

目の前の彼はひどく真剣な顔をして。
それから少しだけ悲しそうな顔をして。
私の頬に長い指で触れた。

上気した私の肌に触れる人差し指はとても冷たい。
そういえば、ひどく冷え性の人だった。
彼のために手袋を編む姉の姿が脳裏をかすめる。


「俺が立ち直れたのは、紅ちゃんのおかげだよ。」

「え…」

「とても、感謝してる。」


それから義兄さんはこの2年の出来事を
少しずつ少しずつ語り出した。

お姉ちゃんの死。
生きる希望なんて欠片もなかった1年間。
お姉ちゃんと暮らした家で、温かな思い出に包まれながら
今はもういない愛しい人を想って涙を流す。
それだけの日々。


「そこに現れたのが、紅ちゃん。君だよ。」

「うん…。」

「あの時の俺は軽くノイローゼ気味だったから。
 正直、蘭とよく似た君を見て、蘭が生き返ったのかと思ったよ。」


その時のことはよく覚えている。
私を見て、宗義兄さんは小さく「蘭…」と言った。

今思えば、あの瞬間。
恋に落ちていたのかもしれない。

私を見る眼差しに。
それはお姉ちゃんに向けられていたものだったけれど。

それでも

こっちが照れてしまうくらい甘い瞳で。
愛しいものを包み込むような瞳で。


私と言う姉の面影に焦がれる。

そんなあなたに恋をした。



「でも、君は蘭とは全然違った。」

「あはっ、そうだよね。」

「よく喋る所も、よく笑う所も、よく怒る所も。
 それで少しずつ見えてきたんだ。」

「見える?…何が?」

「蘭じゃなく、紅ちゃんのことが。」

「え…」

「蘭の面影を重ねるんじゃなくて、
 紅ちゃんっていう1人の存在にやっと気づいたんだ。」


遅すぎるけどね、と宗義兄さんは付け足すと
すっかり冷えてしまった肉まんを
そのまま口いっぱいに頬張った。

私はその間、ゆっくりと彼の言葉を整理する。
私という1人の存在。
それは、どういう意味だろう?

空にはいつの間にか小さな光が
四方八方に姿を現している。
けれど、星空の主役はいちばん星。
いちばん星は一夜だけ、
夜空でいちばん輝くことが出来る特権を与えられるらしい。
それが人々の願いを叶える報酬なのだろうか。

だとしたら
今日の主役はお姉ちゃんだよ。

ねぇ、私たちのこと
どんな気持ちで見てるの…?


「すごく、怖かったんだ。」

「え…?」


喉に肉まんをコーヒーで押し込んで、
紙クズと空き缶をそれぞれゴミ箱へと投げ捨てる。
ようやく手の空いた宗義兄さんは
ゆっくりと言葉を選びながら慎重に話を紡いでいった。


「怖い?」

「そう。紅ちゃんが怖かった。」

「私が?どうして…?」

「………………」

「宗義兄さん?」

「蘭を、追い抜いていきそうだったから。」

「お姉ちゃんを…?」


それはどういう意味?

期待と不安で揺れる鼓動が
静まりかえった公園内で、やけに耳につく。


「怖かったんだ。紅ちゃんをどんどん身近に感じてきて。
 いつか…蘭の妹として見れなくなる日が来てしまいそうで。」


秋は、恋愛の季節とよく聞くけれど。
だったらどうしてこんなにも切ない気持ちになるんだろう。

宗義兄さんの言葉は、きっと私が待ち望んでいたもの。
なのに、どうしてだろう。
どうしてこんなに悲しいんだろう。


「本当は、ずっと前から分かってたんだ。
 君が1人の女の子なんだってこと。」



だって、お姉ちゃんはもういない。



張り合う相手も、謝る相手も、
怒られる相手も、もういないじゃない。

お姉ちゃんの心は
きっと宗義兄さんで立ち止まったままなのに。
私たちは、どんどん未来へと歩いてきてしまっている。


本当は、再会するべきではなかったのかもしれない。
本当は、そばにいるべきではなかったのかもしれない。
本当は、離れるべきなのかもしれない。

本当は……愛しちゃ、いけなかったんだ。


だけど


だけど


ねぇ、だけど…………





お姉ちゃん、ごめんなさい。





「蘭がね、最期にこう言ったんだ。」

「え?」


きっと、妹のままでいたなら
ずっとそばにいられたのだと思う。
何にも気づかないふりをして。
誰の痛みにも鈍いままで。


「病院に駆けつけた俺の手を取って、笑顔で。
 幸せになってって。紅ちゃんも覚えてるだろ?」

「うん…。」

「それが蘭の願いなら、俺は叶えてあげたい。
 そう思うのは偽善かな?」

「ううん、そんなこと…ない。」


だけど、それじゃダメなんだ。
色んな痛みを背負って私は生きていかなきゃならない。
それが人を愛した宿命なら。
宗義兄さんを愛した運命なら。

私は…


「紅ちゃんとはもう会わない方がいいと思った。
 紅ちゃんのためなんてかっこつけて。
 きっと、本当はただ逃げたかっただけなんだ。ズルイよな。」

「そんなこと…私も同じだよ。」


ずっと怯えていたのは私の方。

義兄さんに惹かれていく自分の気持ちが
怖くて怖くて仕方なかった。
もう、決して戻ることの出来ない橋を渡ってしまったみたいで。




「まだ、すぐに君の手をとることは出来ないけど…いつか。」

「いつか?」

「そう。いつか。」



待っててくれる?

星空を見つめたまま低く呟いた横顔に、
私も、小さく頷いた。

遠い遠い未来への約束なんて、とても儚いもの。
けれど。
今の私たちにとって、それはとても確かな希望だから。

これから先何があるかなんて分からない。
だから。
信じるの。歩いていくの。見えない何かに向かって…。


「蘭の願いを叶えることが出来ますように…」


義兄さんの黒い髪は、まるで風に乗るたびに
夜と同化していくようだった。
その儚げな横顔とは対照的に、
強さを含んだ瞳が捕えるものは、いちばん星。

ねぇ、お姉ちゃん。
きっと見ていてくれるよね?

すぐに祝福してなんて我が儘は言わない。
だけど、いつかお姉ちゃんに認めて貰えるくらいに
私はこれからも宗義兄さんを見つめていくよ。

だから、きっと。

いつか…。



「行こうか。
 そろそろ帰らないと、紅ちゃんの両親が心配するよ。」

「うん。…あ、ねぇ宗義兄さんも
 今日ウチでゴハン食べてかない?」

「え?だけど…」

「いいじゃん。きっとウチの親も喜ぶよ。
 ずっと宗義兄さんのこと心配してたんだから。」

「そっか。…じゃぁ、お言葉に甘えて。」

「ほんとに?じゃぁ早く行こ?ほらっ」

「紅ちゃん!ちょっ、待ってよ。」


ねぇ、分かるでしょう?


小さく、けれど確かに

私たちは

2人の明日に向かって、歩き出した。





end。。。




◆あとがき◆

紅たんハピバー☆彡
いやはや、せっかくのBD小説なのに
こんな重い話でごめんね(涙)しかも無駄に長いし(笑)
でもでも!気持ちはたんまり込めてますぞ!
21歳(だよね?←ォィ)おめでとう!
素敵な大人のレディになってくれぃv
紅のみお持ち帰りOKです!